DAIRO MIYAMOTO『Last Picture』CD
※プロデュース/ライナーノーツ:三宅純
昨年、惜しまれつつこの世を去った日本を代表するマルチリード奏者、宮本大路。40年来の盟友である三宅純のプロデュースにより、生前より温めていた“ラスト・アルバム”がここに完成。
「宮本大路は私の音楽に必要不可欠な存在だった。いつまでも存在してくれるものだと思い込んでいた。予想を痛快に裏切るアプローチで、時に共演者を震撼させ、時に微笑みを誘い、音楽に色彩感と立体感をもたらしてくれる、そんな彼はもう居ない。最後の輝きを刻印したこのアルバムを彼に捧げたい」 ―三宅純
白いバリトンサックスがトレードマークのマルチリード奏者として、80年代から現在に至るまでジャズシーンの第一線で活躍してきた宮本大路が、2年間に亘る癌との闘いの末、2016年10月11日にこの世を去った。20年間メンバーを務めた熱帯JAZZ楽団や、自身のユニットであるPINK BONGO、CROSS COUNTERなどで精力的にリリース/ライヴ活動を続けてきた宮本だが、中でももっとも強い信頼関係を築いていた音楽家といえば、三宅純に他ならない。
70年代、バークリー時代からの盟友であり、三宅のデビュー・アルバム『June Night Love』(1983)から最新作『Lost Memory Theatre -act-2-』(2014)までの全作に参加してきた宮本は、闘病の最中、自身の“ラスト・アルバム”と位置付けたソロ・アルバムのプロデュースを三宅に打診する。そうして両者は2016年から制作に着手。しかしながら宮本は、アルバムの完成を見ぬまま、志半ばで天へと旅立ったのだった…。だが、残された三宅は、宮本の念願でもあったこの作品を形にすることを決意。「両者のコラボレーションという意味で、現段階で作り得る最良のオリジナルアルバムとはどんなものか」を模索した結果、こうして本作『Last Picture』の完成に漕ぎつけた。
あくまで宮本大路本人自演であることに拘った本作は、舞台「幽霊たち」への提供曲など、これまでCDリリースされたことのない近年の音源を中心に、宮本の多彩な演奏をフィーチャーした三宅の楽曲全12篇によって構成されている。中でも本作のために書き下ろされ、生前最後のレコーディングとなった多重録音によるサキソフォンカルテット「Last Picture」は、聴く者の心を強く震わせる渾身の演奏だ。多くの音楽ファン、ミュージシャンたちに愛された宮本大路という名プレイヤーの真摯な演奏の数々を、この最後のオリジナルアルバムで存分に楽しんでいただきたい。
■Track list
- 1. Lost in lines
- 2. Last Picture
- 3. Two before dusk
- 4. dintje
- 5. Inherent paradox
- 6. COLONNADE
- 7. Eden-4
- 8. Triangle work
- 9. Gnossienne #1
- 10. Traces
- 11. Entire Picture
- 12. Ca fait longtemps Dairo